【体験感想メモ】打ち合わせ→展示

老若男女世界文学全集装画展Vol.8 "宇宙の眼"を描く

フィリップ・K・ディックの小説『宇宙の眼』を、
10人のイラストレーターがそれぞれの解釈で描き、
デザイナーと組んで模擬装幀を制作。
 文庫カバーと挿画、それぞれの原画も展示しました。(FB公式イベントページ)

 

 

7月12日に無事展示が終了しました。

盛大に遅くなってしまいましたが、第2回講評終了後のデザイナーさんと打ち合わせと装画、挿絵の本番制作、展示の感想メモをまとめました。




第2回講評終了後、装画を担当してくださるデザイナーさんが決定しました。

マルプデザインの宮崎さんです!

メールで日程調整して数日後、初の打ち合わせのため事務所に伺うことに……

持ち物は「今まで制作したラフ」「ポートフォリオ2冊」「メモ用クロッキー帳と筆記用具」


打ち合わせの内容、まずは挿絵から。

こちらは第2回講評で3点ラフを提出したのですが、自分の中で方針が全く決まらず困っていました。

ところが宮崎さんにラフやポートフォリオを見ていただきながら色々お話しているうちに、「こうしてみたら?」とアドバイスから「あ、じゃあここはこうした方が面白いかも?」と次々アイデアが広がってあっという間に方針が決定してしまいました。

悩んで行き詰っていたラフがこんなに楽しく解決するとは・・!1人ではなくデザイナーさんと一緒に絵を作っていく楽しさを知りました。


ちなみに今回頂いたアドバイス&思いついたアイデアが以下3点

①試しにリース(登場人物)の顔の上半分をトリミングで切ってしまい、口元と手の形だけで表情や感情を表現してみたら?

②この絵(ポートフォリオ内に掲載していたイラスト)みたいに、蜘蛛の巣と主人公たち人物をペンで図案的に描いてみたら?

③背景は黒→白にして、ペン描き込んだ方がリースの手から蜘蛛の巣への繋がりも綺麗に見えるのでは?

以下左から「一番最初のラフ」「きっかけになったイラスト」「意識して制作したラフ」「完成イラスト原画」です。本番では少し大きめに描いて、トリミングはおまかせしました。



次に装画です。

第2回講評ではラフA「モノクロの円が重なり合って奥行きがあるように見える」とB「中心が濃い青の水彩のグラデーション」の2点を提出しました。

好評だったのはAのほうでしたが、自分の絵の特徴はカラフルな色の部分だと思っていたので、モノクロで表紙のイラストを描くのはもったいないような……と宮崎さんに相談した結果、円の重なりで登場人物の視野や世界観の範囲やズレを表現するのはそのまま活かし、カラーでかいてみることに。



最初は1点1点A3サイズの紙に本番用の描きかたで描いていたものの、物凄く時間がかかる+修正がきかないので小さいラフを描いて大まかな色を見ていただくことに。

メールや電話でやりとりした結果「青系でいってみましょう」と方針決定しました。

また物語のすこし怖い雰囲気、影のある暗い部分に引き摺られて背景画暗くなっている点を指摘され、「巻き込まれた主人公たちにとっては恐ろしい世界でも、その世界の主からすれば完璧で美しい世界なのでは?」ということでここで背景色を暗い色→明るいグレーに変更しました。

その後何点か微妙に違うイラストを提出し、宮崎さんに選んでいただきました。

 

 

今回特に装画ではイラストを「素材としてお渡しする」ことを意識して制作しました。そのため上下座右もトリミングも全ておまかせ、デザインをたのしみに待っていたところ送られてきたデータ、がカバーとなった完成品がこちら(↓)

大胆にトリミングして配置していただいたことで、引きずり込まれるような勢いのある構図に……!

表紙側に縦横に重なるように「眼」が見えます。タイトルと帯の文字も合わさってとても好きな雰囲気、迫力のあるデザインに……宮崎さん、素敵にデザインしてくださって本当にありがとうございました!!

 

 

展示は作品をそれぞれマットに入れ、搬入日に協力して額装、設置しました。

この日展示参加メンバーの完成装画も初めて見ることになりました。同じ本の表紙なのにそれぞれ注目したシーンや印象が違い、原画だけ見たときと本になったときのイラストもぐっと変わって見えて面白かったです。「装画としてイラストが使われる」ことがこのワークショップ、展示を通して具体的に実感できました。

 

http://malpu.com/nippou/2015/07/nippoui7697.php

また全員の装画、挿絵は上記ブログにてご覧いただけます。

 

 

 

その後のオープニングトーク、懇親会で色々なかたとお話して、今の自分の絵に足りない部分や今の自分自身に足りないものにたくさん気付くことが出来ました。

マルプデザインの皆様、担当してくださった宮崎さん、ギャラリーDAZZLEの村松さん、参加者のイラストレーターとご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。

 

これからたくさん絵を描いて、このWEBポートフォリオサイトも大幅に作品入れ替えをしていく予定です。

今後とも何卒よろしくお願いいたします。